取り組む謎

XRISMが挑む宇宙の謎

XRISMは、星や銀河、そしてその間を吹き渡る高温ガス「プラズマ」を観測して、それらが作る宇宙の大規模構造の成り立ちや、天体間を行き交う元素とエネルギーの流れを、これまでにない詳しさで明らかにします。

天の川やアンドロメダなどの「銀河」は、太陽のような星の集団です。ひとつの銀河にはおよそ1,000億もの星が含まれます。また、銀河は宇宙全体で数千億個もあり、数百から数千の銀河が集まって一つ一つの銀河団を形成します。銀河団は、観測できる天体としては宇宙最大規模のものであり、物質がつくる宇宙の全体像を知るのにもっとも適した天体です。

銀河はときに「島宇宙」とよばれます。島のように、宇宙に広く点在するためです。人間の目に見える光(可視光)で宇宙を見ると、島の間には何もないように見えます。しかしX線で写真を撮ると、あたかも「島」を浮かべる「海」のように、数千万度の高温プラズマが銀河の間に広がる様子がわかります。

プラズマとは、原子を構成する電子の一部が、高温のため原子核から離れてしまった電離ガスのことです。銀河団の高温プラズマは、電磁波で直接観測できる銀河団物質の8割以上の質量を占め、銀河の中を流れるプラズマとも行き来があります。そのため、銀河や銀河団のつくられ方を知るためには、銀河団を満たす「海」である高温プラズマのX線観測が重要になるのです。

地上の川や海、雲や雨のように、プラズマは、星や銀河、銀河団のあいだを循環しています。ですので、プラズマを観測することは、宇宙の物質やエネルギーの流れを知るうえでとても重要です。XRISMには、高温プラズマからのX線を観測し、それに含まれる物質の種類(元素)、温度、密度、速度をこれまでと桁違いの精度で測定する超高分解能X線分光撮像器(X線マイクロカロリメータ)が搭載されます。その能力をもって、XRISMは壮大な宇宙の謎に挑みます。

宇宙の謎01

銀河団の設計図 力学的進化

宇宙最大の天体である銀河団は、数千万度の高温プラズマで満ちています。高温プラズマ中の電子や陽子は速度が大きく飛び散りやすいため、これを銀河団内に引き留めるためには巨大な重力が必要です。この重力の担い手が、正体不明のダークマターです。ダークマターは単にプラズマを引き留めるだけでなく、銀河団の周囲にある物質をも引きつけ、銀河団をさらに大きな天体へと成長させ続けています。ダークマターは電磁波を出さないため、直接観測できません。しかし、X線を使って高温プラズマを観測することで、その分布や動きを推定できます。XRISMのX線分光撮像器は、これまでの装置ではわからなかったプラズマの速度も測ります。これによって、ダイナミックに成長する銀河団の設計図を明らかにしていきます。

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銀河団

宇宙の謎02

宇宙のレシピ 化学的進化

宇宙が生まれてから最初の数億年間は、元素がたったの3種類しか存在しない、実に味気のない時代が続きました。私たちの体をつくるのに欠かせない炭素や酸素、文明を支える鉄などの金属は、いずれも宇宙の誕生から数億年以上あとで生まれた星の中でつくられました。これらの元素は、やがて星の爆発によって銀河の中や外へとまき散らされ、次の世代の、より豊穣な、惑星や生命を含む味わいのある宇宙をつくっていきます。この歴史を宇宙の化学進化といいます。XRISMのX線分光撮像器は、これらの元素からの特徴的なX線を、これまでにない感度で観測し、さらには宇宙空間へと広がっていく速度も測定します。宇宙の元素がもたらす「味わい」のつくられ方(レシピ)を調べます。

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星間物質の分布図

宇宙の謎03

時空のはて

宇宙には、どんなに高性能の望遠鏡を使っても絶対に覗けない領域があります。ひとつは、宇宙の膨張によって我々から遠ざかる方向へと飛びさっていき、決して追いつくことのできない遠い宇宙。そしてもうひとつが、ブラックホールのなかです。ブラックホールのそばでは、強い重力によって時空がひきのばされ、元素から出るX線も、その波長が長くなってしまいます。XRISMのX線分光撮像器は、このX線を精密に測定し、物質が時空のはてへと吸い込まれる様子や、ブラックホールの活動によってエネルギーが放出される様子を詳しく調べます。

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ブラックホールのイメージ図